劇団無法地帯第36回公演 「FANTASY/ファンタジー」 ― 2024/11/03
ここまで何とか書けました・・・
2023年11月23日(木)19:30~ BLOCH 劇団怪獣無法地帯
第36回公演 「FANTASY/ファンタジー」
【舞台の概要】
●フライヤーより
謎の死を遂げた人気小説家、Y。その死後、小説家のファンたちが彼の家の裏にある墓地に集まってくる。彼らの目的は小説家の遺言を実行すること_。「僕の最後の作品、『FANTASY』を完成させてほしい」。Yに与えられた登場人物を演じ始めるファンたちは登場人物が自分によく似ていることに気付く。さらにまるでYの作品の中に出てくるような女・Aが現れ、物語は混乱を増していくが_。劇団怪獣無法地帯が送る大人の悪魔系ファンタジー。ゴシック×人形×ミステリー。
【出演】※役名(よみ)/役者の順
A:杏(あん)/新井田琴江、B:馬喰辰巳(ばくろたつみ)/棚田満、C:茅ヶ崎余(ちがさきあまる)/前田叶愛、D:伊達雅代/太田有香(劇団ひまわり)、E:海老名理央(えびなりお)/のしろゆうこ(intro)、F:福井福(ふくいふく)/赤沢夢望、G:蒲生嬉々(がもうきき)/伊藤しょうこ、H:日高康隆(ひだかやすたか)/小松悟、I:伊勢谷和馬(いせやかずま)/足立泰雅、Y:四ツ谷幽(よつやゆう)/むらかみ智大 黒衣/原田充子
【脚本・演出】新井田琴江 【照明】松本紀子 【音響】渥美光(劇団うみねこ) 【人形制作・操演指導】後藤カツキ(トランク機械シアター) 【衣装】大坂友里絵 【制作】大川ちよみ 【舞台美術・小道具】 劇団怪獣無法地帯 【舞台監督】棚田満/後藤カツキ 【演出助手】足立泰雅 【宣伝美術】新井田琴江 【受付】川原まみ/小川しおり 【協力】さっぽろアートステージ2023実行委員会、札幌劇場連絡会 ※スペシャルサンクスは省略しました。
【雑感】
●「黒電話」の宿す力
電話が鳴る、電話をとる、話す、切る。
50代が故のノスタルジーは、その光景をほほえましくもさえ思わせてしまう。
それだけのこと、では、終わらなかった。
舞台を「小説」の中に溶け込ませる役割を負ったのは、黒電話だ。
舞台装置や道具は、脚本と演出の意図する時代、場所、背景などを移す素材として使われる。しっかりと建て込んだ舞台は、場所や背景を揺るぎの少ない舞台環境を役者に提供することで、芝居を後押しする。装置を建て込まずに道具などを配置することで状況を示す場合もあれば、特徴的な道具に芝居の重要な役割を任せる場合もある。
本作品では、電話で小説家とつながった者たちが、次々と小説家宅にやってきて、最後の作品づくりに巻き込まれていく。現代では使われることのない黒電話であるが故に、やってきた者たちが異世界へ連れてこられた、時間というか時空を超えてその場に集まった感覚を観客に印象付けている。黒電話が使われていた時代との時間的な距離感が、絶妙なのだ。
「FANTASY」は、黒電話から始まったのだ。
●アルファベットである理由
次々と登場する役者はアルファベットで識別されることとなる。役名は、ほぼ意味をなさないようだ。AからI、そしてYの10のアルファベットは一体何を意味するのか。雑感を書くに至ってもまだ意味を見いだせていない。ファンタジーの7文字を構成するわけでもない。多分、抽象的な存在とするためと、登場順に何らかの意味を持たせて、その順番を幾度も繰り返すことが必要だったため、ということだろうか。電話を受けた順とも思えるので、脚本上で手順をそろえる方法として用いたのかもしれない。
ただ、いまも気にはなっている。
・・・そして観劇から1年が経過し・・・FANTASYとは何だったのか、アルファベットの意味は何なのだろうか。単にアルファベットの最後のZではちょうどいい名前がなく、そのひとつ前のYを使っただけ、Aから順番にそろえてIまであっただけ、ということでいいんじゃないかと思っている。
●伊勢谷和馬と四ツ谷幽の入れ替わり
小説家はY、四ツ谷幽だ。Yに付き従うのがI(アイ)、伊勢谷和馬だ。この入れ替わりが作品の混沌を決定づけている。Yの持つ不確実さや不安定さを四ツ谷幽という名前とイニシャルに投影し、自分を意味するI(アイ)を自己主張として伊勢谷和馬に託したのかもしれない。故に、伊勢谷は四ツ谷と入れ替わることになったのではなかろうか・・・とまでなると、邪推ではある。
●老舗であり老舗ではない劇団怪獣無法地帯
劇団名からなんとなく敬遠してきた、劇団怪獣無法地帯。棚田さんのお名前はもちろん知っているが、内弁慶な自分はついぞこの機会までご本人を見たことはなかった。前説での風景を見ると、観劇の期間の長短を問わず、この劇団を支えている観客が数多くいることがわかる。それも、劇団と観客が近い距離間で。その一方で登場する役者は決して老舗感満載の妙齢ぞろい、というわけではない。幅広い年齢構成での舞台を提供しているのは、ひとえに棚田さんの年齢や経験だけではない積み重ねによるものだろう。
そして今もなお、棚田さんの年齢を僕は知らないし、知ろうとしていない。それでいいのだ。
2023年11月23日(木)19:30~ BLOCH 劇団怪獣無法地帯
第36回公演 「FANTASY/ファンタジー」
【舞台の概要】
●フライヤーより
謎の死を遂げた人気小説家、Y。その死後、小説家のファンたちが彼の家の裏にある墓地に集まってくる。彼らの目的は小説家の遺言を実行すること_。「僕の最後の作品、『FANTASY』を完成させてほしい」。Yに与えられた登場人物を演じ始めるファンたちは登場人物が自分によく似ていることに気付く。さらにまるでYの作品の中に出てくるような女・Aが現れ、物語は混乱を増していくが_。劇団怪獣無法地帯が送る大人の悪魔系ファンタジー。ゴシック×人形×ミステリー。
【出演】※役名(よみ)/役者の順
A:杏(あん)/新井田琴江、B:馬喰辰巳(ばくろたつみ)/棚田満、C:茅ヶ崎余(ちがさきあまる)/前田叶愛、D:伊達雅代/太田有香(劇団ひまわり)、E:海老名理央(えびなりお)/のしろゆうこ(intro)、F:福井福(ふくいふく)/赤沢夢望、G:蒲生嬉々(がもうきき)/伊藤しょうこ、H:日高康隆(ひだかやすたか)/小松悟、I:伊勢谷和馬(いせやかずま)/足立泰雅、Y:四ツ谷幽(よつやゆう)/むらかみ智大 黒衣/原田充子
【脚本・演出】新井田琴江 【照明】松本紀子 【音響】渥美光(劇団うみねこ) 【人形制作・操演指導】後藤カツキ(トランク機械シアター) 【衣装】大坂友里絵 【制作】大川ちよみ 【舞台美術・小道具】 劇団怪獣無法地帯 【舞台監督】棚田満/後藤カツキ 【演出助手】足立泰雅 【宣伝美術】新井田琴江 【受付】川原まみ/小川しおり 【協力】さっぽろアートステージ2023実行委員会、札幌劇場連絡会 ※スペシャルサンクスは省略しました。
【雑感】
●「黒電話」の宿す力
電話が鳴る、電話をとる、話す、切る。
50代が故のノスタルジーは、その光景をほほえましくもさえ思わせてしまう。
それだけのこと、では、終わらなかった。
舞台を「小説」の中に溶け込ませる役割を負ったのは、黒電話だ。
舞台装置や道具は、脚本と演出の意図する時代、場所、背景などを移す素材として使われる。しっかりと建て込んだ舞台は、場所や背景を揺るぎの少ない舞台環境を役者に提供することで、芝居を後押しする。装置を建て込まずに道具などを配置することで状況を示す場合もあれば、特徴的な道具に芝居の重要な役割を任せる場合もある。
本作品では、電話で小説家とつながった者たちが、次々と小説家宅にやってきて、最後の作品づくりに巻き込まれていく。現代では使われることのない黒電話であるが故に、やってきた者たちが異世界へ連れてこられた、時間というか時空を超えてその場に集まった感覚を観客に印象付けている。黒電話が使われていた時代との時間的な距離感が、絶妙なのだ。
「FANTASY」は、黒電話から始まったのだ。
●アルファベットである理由
次々と登場する役者はアルファベットで識別されることとなる。役名は、ほぼ意味をなさないようだ。AからI、そしてYの10のアルファベットは一体何を意味するのか。雑感を書くに至ってもまだ意味を見いだせていない。ファンタジーの7文字を構成するわけでもない。多分、抽象的な存在とするためと、登場順に何らかの意味を持たせて、その順番を幾度も繰り返すことが必要だったため、ということだろうか。電話を受けた順とも思えるので、脚本上で手順をそろえる方法として用いたのかもしれない。
ただ、いまも気にはなっている。
・・・そして観劇から1年が経過し・・・FANTASYとは何だったのか、アルファベットの意味は何なのだろうか。単にアルファベットの最後のZではちょうどいい名前がなく、そのひとつ前のYを使っただけ、Aから順番にそろえてIまであっただけ、ということでいいんじゃないかと思っている。
●伊勢谷和馬と四ツ谷幽の入れ替わり
小説家はY、四ツ谷幽だ。Yに付き従うのがI(アイ)、伊勢谷和馬だ。この入れ替わりが作品の混沌を決定づけている。Yの持つ不確実さや不安定さを四ツ谷幽という名前とイニシャルに投影し、自分を意味するI(アイ)を自己主張として伊勢谷和馬に託したのかもしれない。故に、伊勢谷は四ツ谷と入れ替わることになったのではなかろうか・・・とまでなると、邪推ではある。
●老舗であり老舗ではない劇団怪獣無法地帯
劇団名からなんとなく敬遠してきた、劇団怪獣無法地帯。棚田さんのお名前はもちろん知っているが、内弁慶な自分はついぞこの機会までご本人を見たことはなかった。前説での風景を見ると、観劇の期間の長短を問わず、この劇団を支えている観客が数多くいることがわかる。それも、劇団と観客が近い距離間で。その一方で登場する役者は決して老舗感満載の妙齢ぞろい、というわけではない。幅広い年齢構成での舞台を提供しているのは、ひとえに棚田さんの年齢や経験だけではない積み重ねによるものだろう。
そして今もなお、棚田さんの年齢を僕は知らないし、知ろうとしていない。それでいいのだ。
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